今後保管場所標章は廃止されますが、これに対しユーザーからはどのような反響が寄せられているのでしょうか。
保管場所標章を廃止する理由とは
このたび、自動車の「保管場所標章」の廃止を盛り込んだ改正車庫法が可決・成立しました。
今後保管場所標章は廃止されますが、これに対し自動車ユーザーからはどのような反響が寄せられているのでしょうか。
新車を購入したときやクルマの名義・住所変更をする際は、原則として警察にクルマの保管場所(車庫)を届け出なければいけません。
自家用の登録自動車であれば「車庫証明書」、自家用の軽自動車であれば「保管場所届出書」の手続きがそれぞれ必要です。
これら保管場所の手続きをおこなうと、管轄の警察署から車庫証明書などの書類に加え、「保管場所標章」と呼ばれるクルマのイラストが入った円形のシールが交付されます。
この標章には「東京都○○区」「○○警察署長」のように保管場所の地域や署長名が表記されており、交付した警察署が一目で分かるようになっています。
なお車庫法の規定により、保管場所標章はクルマの後部ガラスなどに貼り付けることが義務付けられています。
そもそも保管場所標章が制度化されたのは1991年(平成3年)のことで、当時問題になっていた、道路を車庫代わりに利用する「青空駐車」への対策として導入されました。
具体的にはクルマの保管場所を外側から見えるようにすることで、所有者に保管場所を確保する意識を持たせるねらいがありました。
また違法駐車を発見した際に、保管場所標章に記載された警察署に照会すれば保管場所の情報を迅速に調査できるといったメリットも期待されていました。
しかしその後、警察のデータベースが整備され、現在はクルマのナンバーを照会するだけで所有者や保管場所などの詳細な情報が分かるようになっています。
加えて、青空駐車自体の摘発件数も大幅に減少しています。
そのような事情から保管場所標章の必要性がなくなったため、警察庁は2023年12月21日に保管場所標章を廃止する方針を明らかにしました。
そして、2024年5月17日の参議院本会議において改正車庫法が可決・成立し、正式に廃止されることが決定しました。
現在、保管場所標章の交付に際しては1枚500円の手数料がかかっており、廃止されれば自動車ユーザーの金銭的負担のほか、警察職員の事務負担が軽減されると考えられます。
ただし、あくまでも廃止されるのは保管場所標章のみであり、車庫証明書などの手続きはこれまでどおり必要であるため、その点は留意しておきましょう。
この保管場所標章の廃止を巡っては、インターネット上で「もともと貼ってない人も多かったし、良いのでは」「標章を貼る義務はあったけど罰則がないから実質貼らなくても特に問題はなかった」「ディーラーの人はいつもシールを窓ガラスに貼らずに車検証ケースに入れていた」などの声が複数寄せられ、廃止されてもさほど影響はないものとみられます。
また標章をクルマに貼付していない理由については「デザインがダサかったから」「外に貼ったら数年で劣化して取れてしまった」「一度貼ると剥がすのが面倒。跡が残る」などの意見が上がりました。
そのほか「(行政の)コストが下がるなら自動車の登録費用安くならないかな?」という期待の声も聞かれましたが、現段階では保管場所標章の廃止にともなう各種手数料の引き下げなどは検討されていません。
※ ※ ※
改正車庫法は公布後1年以内に施行され、保管場所標章は30年以上の歴史に幕を下ろすことになります。
インターネット上では「青空駐車自体は減少したとはいえ、依然として違法駐車が多い」という指摘もあり、実効性のある対策が望まれています。
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