Tuesday, April 7, 2020

社説:原発処理水処分 長期保管含め再検討を - 秋田魁新報

 東京電力福島第1原発の処理水処分は、海洋放出と大気放出のどちらを選択すべきか。政府はその方針決定に向け、初の意見聴取会を福島市内で開いた。政府小委員会は海洋と大気の2案に絞り、拡散予測がしやすい「海洋放出の方が確実」としている。これについて意見を聴くのが今回の狙いだ。

 漁業や観光業、自治体の関係者らが出席。漁業者からは「海に県境はない」として反対の声が上がった。除去できない放射性物質トリチウムを含む処理水が放出されれば、福島沖にとどまらず、影響が出る可能性もある。漁業者の言い分はもっともであり、県内外の声にも政府は耳を傾ける必要がある。

 海洋放出やむなしとの意見もあった。処理水の保管状況は日々厳しさを増しており、その処分は急務と受け止めてのことだろう。

 東電によると、処理水保管タンクは2022年ごろ満杯となる見込みだ。原発敷地内に増設の余地はほぼない。18年度、汚染水は毎日約170トン発生。タンク内の処理水を放出して新たな汚染水に対応しない限り、問題解決への道は見えてこない。それが政府小委の考えだろう。

 原発事故前、多くの国内原発では一定基準内でトリチウムを海洋放出していた。政府小委は前例と同程度の濃度でトリチウムを処分すれば、「風評の影響を一定程度抑える効果も期待される」としている。だが海洋放出して本当に大丈夫なのか。

 原発建屋に地下水が流れ込み、事故で溶け落ちた核燃料などに触れて汚染水は発生する。専用設備で放射性物質を除去しているものの、最後まで残るのがトリチウムだ。

 トリチウムは海水、大気などに含まれ、低濃度であれば体外に排出されやすいという。しかし処理後の汚染水については以前、トリチウム以外の排出基準を超す放射性物質の残留が判明している。そうした経緯もあることから、数十年にわたる海洋放出によって予想外の影響も懸念される。

 政府小委が18年に福島県と東京都で開いた一般対象の公聴会では、海洋放出への反対が続出した。これに対し今回の聴取会では一般市民を対象外とした。これでは、最有力案の海洋放出に向けた政府の「地ならし」にすぎないのではないか。

 政府小委の委員長は18年当時、「長期間保管の可能性も含めて議論する」としていた。タンク増設のための新たな敷地を確保し、処理水を長期間保管してトリチウムの放射線量を低減させる。同時にトリチウムの除去技術開発に力を注ぐ。そうした選択肢もあるはずだ。

 政府はスケジュールありき、海洋放出ありきで議論し物事を進めてはならない。当事者、一般市民、専門家を問わず福島県内外から広く意見を募り、できる限り多くの声を聴いて処理水の処分方針を決めるべきだ。

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