Friday, April 10, 2020

“どちらか”じゃなく“どちらも”搭載がキホンです。“大切なデータの格納庫”SSD・HDDはこう選べ - PC Watch

 今やPCのストレージの主役は完全にSSDに置き換わった。しかし、メインストレージをより高速なM.2 SSDにするか、1~2TBの大容量モデルが低コストで手に入るSerial ATA SSDにするかは悩ましいところだ。さらにゲームも大容量化の一途で、HDDの併用も考慮する必要がある。2020年春のSSD・HDD選びの基本を押さえておこう。(TEXT:北川達也)

特徴を理解してSSDとHDDを選ぼう

 PCにおいて、OSやアプリケーション、各種データの保存を行なうのがストレージの役割だ。自作PCで主流のストレージは、SSDとHDD。SSDは価格は高めだが、耐衝撃性に優れ、データ転送が高速なのが特徴。OSやアプリケーションの起動、動画編集時の作業用など、処理速度を求める用途に向いている。対してHDDは安価で大容量だが、データ転送速度はSSDと比較して大幅に劣る。このため、現在ではOS起動よりもデータ保存用として利用されるのが一般的だ。

 また、ストレージのインターフェースは、SSDとHDDの両方で採用されているSerial ATAとSSDのみが採用するPCI Expressに大別される。PCI Expressを利用するSSDは、NVMe SSDとも呼ばれ、Serial ATAを大幅に上回る高速なデータ転送が可能だ。SSDには、2.5インチサイズの製品とM.2と呼ばれる小型カード型の製品がある。2.5インチはSerial ATAの製品しかなく、前述したNVMe SSDはM.2が主流で、マザーボードのM.2スロットに接続して利用する。

主なストレージは3種類

Serial ATAとNVMe どっちがよい?

 NVMe SSDは、Serial ATAのSSDよりも読み出しで4~10倍、書き込みで3~8倍も高速なのが最大の強み。このため、動画や写真などの大きなデータを扱うときほどNVMe SSDの高速性を体感できる。また、M.2スロットに挿すだけで使えるのでケーブル配線が不要なのも便利な点だ。

速度はSSDが圧倒的に高速

 速度面をもう少し詳しく解説しよう。HDDに比べ、Serial ATA SSDはシーケンシャル(連続)読み出し/書き込みともに数倍、NVMe SSDは10倍以上も速い。さらに圧倒的なのが、ランダム読み出し/書き込み速度だ。SSDのランダム速度は、HDDの数十~数百倍だ。HDDとSSDで体感速度がまったく異なるのは、このランダム速度の差によるところが大きい。たとえば、SSDのゲームのロード時間は、HDDと比べて大幅に短い。
 その一方で、NVMe SSDとSerial ATA SSDの体感性能は最大速度ほど差は出ない。ゲームのロード時間を見ても分かるが、NVMe SSDの高速性を活かし切れるアプリはそれほど多くはないのが現状だ。

目的に応じて併用がオススメ

 速度と容量を両立させるコスパに優れたストレージの使い方は、使用頻度が高く、応答性のよさが重要となるOSやアプリはSSD、使用頻度の低いデータはGB単価に優れるHDDに保存することだ。動画や画像編集など大容量ファイルの読み出しを頻繁に行なう環境なら、NVMe SSDをメインに、予算に合わせてSerial ATA SSDやHDDを追加するのがよいだろう。ゲームの場合は、Serial ATA SSDでもNVMe SSDでもロード時間に大きな差はない。コスパを考えるなら、Serial ATA SSDをメインに、プレイ頻度が落ちてきたゲームをHDDに移動する、といった使い方がベターだろう。

(1)案は、プレイ頻度の高いゲームをNVMe SSD、頻度が低いゲームをHDDに保存することを想定。(2)ロード時間の速さとコスパのバランスを考えると1TBを1台での運用もアリ
(1)動画編集は素材の読み出しも高速にする意図でフルSSD構成とした。(2)案は、作業中の素材データはNVMe SSD、それ以外はHDDに保存することで速度と容量の両方を確保
撮影データは日々増えていくため、OSとアプリのインストール用としてSSD、画像の保存場所としてHDDという構成がベター。予算配分を考え、(1)案と(2)案を出している

PCI Express 4.0対応SSDってどうなの?

 複数のメーカーからPCI Express 4.0対応のSSDが登場しているが、現状その最大速度を出せるのは第3世代RyzenとX570チップセットの組み合わせのみ。本格普及はこれからなので、導入を焦る必要はない。

TLCとQLCの違いは?

 一つの記録素子(セル)あたり3bitのデータを格納するのがTLC(Triple Level Cell)、4bit格納するのがQLC(Quad Level Cell)。QLCは記録密度が高いため、価格は安いが、速度や耐久性ではTLCよりも劣っている。

1セルあたり記録 1セル書き換え回数
TLC 3bit 3,000回
QLC 4bit 1,000回

DOS/V POWER REPORT 2020年春号では「PC自作のキホン」と題し、PC自作の“今”をふんだんに盛り込んだ自作入門特集を掲載している。2020年春号ではこのほか、巻頭企画「Threadripper 3990Xのトリセツ」、第2特集「鬼コスパゲーミングPC作成術」などを掲載。さらに160ページの豪華付録小冊子「PC自作用語辞典」も付属し、PC自作初心者から上級者までマストバイの1冊です。

【検証環境】

CPU:AMD Ryzen 7 3700X(3.6GHz)、マザーボード:GIGA-BYTE X570 AORUS ELITE(rev. 1.0)(AMD X570)、メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)、ビデオカード:ASUSTeK PH-GTX1650-O4G(NVIDIA GeForce GTX 1650) 、システムSSD:CFD販売 S6TNHG6Q CSSD-S6T256NHG6Q(Serial ATA 3.0、MLC、256GB)、OS:Windows 10 Pro 64bit版

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