早ければほんの数ヶ月でフロートチャンバー内のガソリンが変質することもあるキャブレター。ジェットや通路に詰まった汚れやゴミを取り除くにはオーバーホールが必須ですが、その際に2気筒以上のマルチキャブはガソリン通路=フューエルジョイントのOリングの状態確認も必要です。製造から長期間を経た絶版車の場合、無条件で交換しておいた方が良いでしょう。
カーボンやワニスで汚れたキャブレターはオーバーホールでリフレッシュしたい
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長期放置などでキャブレター内部の汚れが疑われる場合、フロート内のガソリンを新品に交換して始動トライを行い、そこで具合が悪ければオーバーホールに着手する。劣化したガソリンは狭い部分から詰まり始めるので、アイドリングにとって重要なパイロット系から先に不調になっていくパターンが多い。
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ジェット類やバキュームピストンなどボディから取り外せる部品をすべて外したら、穴という穴を目がけてキャブレタークリーナーをまんべんなく吹き付ける。クリーナーを浸透させたらパーツクリーナーで洗い流して、各通路が貫通しているかエアーブローで確認する。
数ヶ月乗らなかっただけでキャブレター車の始動性が悪化したときは、とりあえずフロートチャンバー内のガソリンを抜いてフレッシュなガソリンと入れ替えることで症状が改善することがあります。
ガソリンの劣化は保管状況によってまちまちです。ホームページ上で、気温変化が少ない冷暗所保管で半年程度であれば品質への影響は少ないと記載しているメーカーもありますが、保管温度や湿度や空気との接触等の条件によって劣化度が異なるため、できるだけ早く使用することを推奨しています。
さまざまな理由から長期間バイクに乗らずにいると、キャブレター内部のガソリンが劣化してワニス化したり、水分があればジェットやニードルが腐食することもあります。そうなると、フロートチャンバー内のガソリンを入れ替えたところで始動できない可能性の方が高くなります。ジェットが詰まればガソリンがベンチュリーに流れず混合気にならないからです。
このような時はキャブレターを分解してニードルやジェットを取り外し、キャブレタークリーナーで洗浄します。劣化したガソリンはジェットだけでなくキャブレター内部全般に影響するため、キャブクリーナーを使用する時は汚れの表面にスプレーするだけでなく、キャブレター内部のガソリン通路やエアー通路にもしっかり注入することが重要です。
ガソリン切れによる乾燥硬化がOリング部からの漏れの原因になる
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キャブボディ同士をつなぐフューエルジョイントからガソリンが漏れている例。フロートチャンバーからガソリンを抜いて数年間保管した後、燃料ホースからガソリンを流したところ、ジョイントの奥から徐々に滲み出した。フロートバルブの閉じ不良などによるオーバーフローの場合、ガソリンはフロートチャンバー底部のオーバーフローパイプから流れ出るが、フューエルジョイント部からの漏れはフロートチャンバーとボディの合わせ面より上から滴り落ちるため様相が異なる。
ジェットやニードルやボディ内部の通路をキャブレタークリーナーで洗浄するのと同時に、マルチキャブの場合はフューエルジョイント部の確認も必要です。4気筒用キャブの場合、燃料コックからキャブにつながる燃料ホースは1本タイプと2本タイプがあり、1本タイプの場合であれば1本のホースからジョイントで4気筒分のフロートチャンバーにガソリンが分岐します。燃料コックからのホースが2本あれば、それぞれのホースは2気筒分ずつのフロートチャンバーにつながります。
どちらのタイプであってもフューエルジョイントはキャブレターボディの外部にあり、ボディへの挿入部分にはガソリン漏れを防止するためのOリングがセットされています。また絶版車の中には、ジョイント全体にゴム質のコーティングを施してOリングを使用していないものもあります。
そして経年変化によってこのOリングが劣化すると、フューエルジョイントとボディの隙間からガソリンが漏れる原因になるのです。
キャブレターからガソリンが漏れるのはフロートチャンバー内部のオーバーフローが原因と思われがちですが、長期間使用していなかったバイクでフューエルジョイントからガソリンが抜けてしまっていると、ガソリンが触れていないOリングが硬化して細かなヒビが入り、オーバーホール後にガソリンを入れた際に漏れ出すリスクがあるのです。
Oリングのヒビ割れや劣化はフューエルジョイント内にガソリンが流れている間も進行しますが、一度ガソリンが干上がるとゴムが収縮してヒビ割れが拡大するのか、漏れ始めるパターンが多いようです。
からの記事と詳細 ( 長期保管車や不動車復活でキャブレターオーバーホールを行う際はフューエルジョイントのOリングも交換しよう - Webike Plus )
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