Tuesday, July 28, 2020

なぜ、いまオブジェクトストレージなのか(3) オブジェクトストレージの長所と短所 - マイナビニュース

前回は、オブジェクトストレージが増大するデータ管理の問題を解決することを指摘しましたが、それがデータストレージのすべての問題に対する最善策ではないことも強調しました。 今回は、オブジェクトストレージの長所と短所を説明し、どこでどのように使用すべきかの例を挙げて説明します。

オブジェクトストレージは、デジタル写真、オーディオファイル、および後にビデオを保存するために消費者の爆発的な需要が生まれた結果として、1990年代後半に出現し、膨大なデータの保存・格納問題を解決するために開発されたことを覚えておくことが重要です。

そのため、オブジェクトストレージ技術は、より大きなオブジェクトを管理するために最適化されたことは驚くべきことではありません。この技術は、より大きなファイルをはるかにコスト効率よく保存できるだけでなく、マルチパート分割でアップロードすることができる仕組みのため、高速な大容量ファイルの転送を実現することができました。

したがって、大きなオブジェクト、または大きなオブジェクトと小さなオブジェクトの混合物を使用する場合、オブジェクトストレージは低コストだけでなく、高いパフォーマンスのソリューションを提供することができます。しかし、100KB以下のような非常に小さなオブジェクトで最高のパフォーマンスを必要とする場合は、SANやNASのような他のストレージ技術の方が適しているかもしれません。

一般的にサイズの大きなオブジェクトを取り扱うことの多い例として、現在多くの映像データ所有者や放送局は、テープストレージに保管しています。検索不可能な、あるいは「結果的に死蔵している」コンテンツを100PB規模で、オブジェクトストレージに移行しており、オンライン化やメタデータの活用を実現することで、コンテンツに対して素早く検索、アクセスし、過去のデータを利活用して収益化できるようになっています。

オブジェクトストレージのもう1つの強みは、費用対効果と拡張性です。しかし、すべてのユースケースで、オブジェクトストレージによるコストパフォーマンスの高いアーキテクチャを実現できるわけではありません。ユーザーのデータ容量が100TB程度を超えると、オブジェクトストレージのコスト面でのメリットが見え始め、成長するにつれてコスト/容量は急速に下がり続けます。

数百TBから1PBの範囲に入ると、SANやNASよりもおそらく60%以上もコストが削減されるようになります。 企業の現在のストレージ容量が2桁TB以上で、さらに大容量に成長する必要があると予測される場合は、オブジェクトストレージが適しています。しかし、要件がGBや数TBの範囲内で、その容量を大きくする計画がない場合は、DASやNASのような他の技術を使用することで、より低コストでこれを実現できるかもしれません。

拡張性/スケーラビリティ、具体的にはテラバイトからペタバイト、さらにはエクサバイト(1000PB)へのスケーラビリティは、ユニークな機能の1つであり、すべてのパブリッククラウドやプライベートクラウドがオブジェクトストレージを採用している主な理由でもあります。

つまり、ストレージ要件が既存の容量を超え始めた場合、ユーザーは新しいストレージサーバを追加してマウスを数回クリックするだけで、容量を増やすだけでなく、ノードを追加したことで、オブジェクトストレージのユニークなマルチパート分割でアップロードを受けられる機能により、高速なファイル転送パフォーマンスを享受することができます。

頻繁にバックアップやリストア、大容量ファイルのアーカイブを行う企業にとっては、非常に有益な機能です。しかし、データストレージの要件が小さく、データの増加が少なく安定している場合、これらの機能のメリットは小さいかもしれません。

オブジェクトストレージのもう1つの利点は、異なる場所、都市、あるいは国の複数の場所にあるストレージノードを使って、地域分散型のデータストレージ「クラスタ」を作成できることです。このクラスタは単一の「名前空間/ネームスペース」として動作し、世界中のどこにいても正しい資格情報を持ったユーザーが、特定のURLを用いてデータにアクセスできるようにします。

  • なぜ、いまオブジェクトストレージなのか 第3回

多くのグローバル企業は、組織内のデータ作成者とデータの「消費者」を簡単に接続するために各企業が生成した任意のURLを利用しており、パブリッククラウドの利用方法と非常によく似ています。また、マルチテナンシーなどの機能を利用することで、企業は部門やユースケースに応じたデータストレージの「グループ・ユーザ・バケット」を作成することができ、バケットごとにアクセス管理、QoS、データ保護などを設定することができます。世界最大級の自動車メーカーの1社は、まさにそのような取り組みを行っています。

製造からリース、設計から自律走行まで、何百もの異なる部門で構成されており、1つの大規模でグローバルに分散した単一のネームスペース・オブジェクト・ストレージ・クラスタを活用し、世界中のすべてのストレージ・ロケーションを1つの場所で1人のオペレータがリモートで管理しています。

しかし、単一ネームスペース、分散アーキテクチャ、マルチテナンシーなどの機能は、単一またはサイロ化されたユースケースを持ち、データ消費者が限られている企業にとっては、大きなメリットをもたらさない可能性があります。

このようにオブジェクトストレージは万人向けではありませんが、適切なユースケースではパブリッククラウドと同等の前例のない経済性、パフォーマンス、拡張性/スケーラビリティ、操作性を提供します。そして、DataOpsと呼ばれる大規模かつ分散した運用において、データ生成者とデータ消費者を単純に橋渡しできることは、おそらくオブジェクトストレージの最大のメリットと言えるでしょう。

データ容量が数十TBを超え、クラウドの経済性と運用性を重視する企業にとっては、オブジェクトストレージが答えになるかもしれません。実際には、各企業が自社の利用方法や要件にオブジェクトストレージがあっているかどうかを確認することが重要です。

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