孫の、孫の、そのまた孫の…。 今年の2月2日以前にGitHubにコードを投稿したという方に朗報です。もしかしたらあなたの作品が氷の箱舟に乗って1,000年後まで届くことになるかもしれません。 世界最大のオープンソースコード共有サイトのGitHubが、7月8日に同社の公開リポジトリにあるコードをすべて、北極圏にある永久凍土の地下数百メートルに保管したと発表しました。
ノルウェーの廃坑にフィルムを収める
保管庫が置かれたのは人口わずか数千人(とホッキョクグマ)が暮らすノルウェー・スバールバル諸島の山中にある廃鉱です。将来的に不動産開発者や時の有力者などの手が及ぶ恐れがないことから、保管場所として選ばれたようです。 GitHubによると、2020年2月2日時点でアクティブなパブリックリポジトリと「重要な」休眠中のリポジトリのスナップショットを3,500フィート(約1キロメートル)分のフィルムにプリントし、今後1,000年にわたって保管するとのこと。リールにして186本分だそうです。なんかもう、神聖な感じすら漂いますね。同社はいずれ、すべてのアクティブなリポジトリを石英ガラスのプラッタにレーザー彫刻し、1万年以上残そうと計画しているようです。 「永久凍土のタイムカプセルって聞いたことある」という方がいたら、それはGitHubが提携するLong Now Foundationの「1万年時計」といった別の永久保存プロジェクトのことかもしれません。現在建設中の1万年時計はAmazonのジェフ・ベゾスCEOが4200万ドル(約45億円)を投じるプロジェクトで、これが完成すると1万年にわたって時を刻み続けることになります。
叡智の結晶を未来へ
GitHubはオープンソースプロジェクトのアーカイブであり、いわば英知の集合体。ここにはデジタル業界の知識や技術がつまっています。これを後世に残せば、そのランドスケープを再構築し、さらに拡張することもできます。 たとえば将来、(人類がいなくなったあと?)技術の発達したエイリアンがこれを見つけたら、GitHubがホストするBoot Campでプログラミングスキルを磨き、GitHubデータを使用して機械学習モデルを作成し、ロボットをトレーニングしてシェイクスピア風の文章を作り、さらに出来上がった作品をアニメ化することもできます。我々が使うプログラミング言語や難解なOS、アプリ開発フレームワーク、および暗号化ライブラリを研究することもできますし、時間とやる気があれば、WordPressのブログで自分たちの発見を解説することもできるでしょう。 まあ、エイリアンは飛躍しすぎかもしれませんが、たとえばビットコインのコードが北極圏で安全に保管されているとなれば大災害が起きても安心ですから、デジタル通貨の投機家には大いにありがたがられるでしょう。 エイリアン(未来人でもなんでもいいけど)がコードを使うには、手順書をしっかり読む必要があります。21テラバイトにおよぶリポジトリデータはTARファイルにまとめられ、QRコードに変換されています。ですから「QR解読、ファイル形式、文字エンコードなどの重要なメタデータ」に対処するためには、GitHubのマニュアルを参照する必要があります。 まあでも、このデータを発見する「誰か」は、きっとコンピュータくらい持っているでしょう(希望的観測?)。GitHubは、各リールにreadmeファイルのようなガイドも添付し、ソフトウェアの基本原理について定義しています。また、プロジェクトのコンテキストを説明する前に、GitHubは今回の保管プロジェクトが機能するために必要な技術的領域に関する免責事項を付加しています: このデータの読み取り、デコード、解凍には相当量の計算が必要になります。理論的にはコンピュータなしで実行できますが、非常に面倒で困難でしょう。 我々はソフトウェア、コンピュータといった用語の定義が必要ないことを期待します。あなた方が、おそらく我々のものよりはるかに高度で、根本的に設計の異なるコンピュータを所持していると想像しています。下記の概要およびガイドを理解すれば、すべてのデータに簡単にアクセス可能となります。 ただし、我々のコンピュータより性能が劣っている場合や、コンピュータ自体がないことも考えられます。そのような事態に備え、圧縮およびエンコードされていない、人間が読み取り可能なデータのリール「テック・ツリー」を用意してあります。ここには、基本的なテクノロジー、コンピュータ、およびソフトウェアに関する情報が含まれています。今後、この知識をもとに、アーカイブのオープンソースソフトウェアを利用可能なコンピュータをあらためて製造していただけると願っています。 GitHubがコンピューティングおよびソフトウェア開発用の「ロゼッタストーン」と表現している「テック・ツリー」は、コンピュータなしで人間が解読可能な情報として、別リールにプリントされています。 この手紙はつまり、人類滅亡後にこれを発見する「誰か」に向けて書かれているわけですが、今の私たちには現実味を帯びた不気味さ、みたいなものは感じられません。しかし、人類滅亡までいかなくても、今後どのような大災害によって今あるデータが失われるかわかりません(世界中でいっせいに大停電が起きたら、データは消えますよね…)。そんなときは、GitHubはインターネットアーカイブ、ソフトウェアヘリテージ財団、ボドリアン図書館に行くと、同様のアーカイブが存在しますよ。
R.Mitsubori
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July 25, 2020 at 07:30PM
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プログラムは人類の遺産。オープンソースのコードを永久凍土に保管(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース
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