宝達志水町特産の宝達葛(くず)づくりを守る「生産友の会」に24日までに、羽咋市の90代女性から約70年前に生産された宝達葛1袋が届いた。宝達葛は古くから「万能薬」として重宝され、女性は嫁入りする際に「身体滋養」を願う親から1袋を渡された後、大切に保管してきた。現在と同じ包装で保存状態も良く、友の会は宝達葛の歴史を伝える史料として町宝達葛会館で展示する。
友の会の佐藤勝治さん(78)によると、宝達葛は昨年10月ごろ、女性の知人を通じて友の会に寄贈された。保管していたのは宝達志水町荻谷に住んでいた女性で、23歳だった1954(昭和29)年に羽咋市内に嫁ぐ際、父から宝達葛を受け取って自宅に保管してきたという。
女性は昨年6月、宝達葛を取り上げた北國新聞の記事を見て自宅で保管していたことを思い出し、1袋を見つけた。女性は宝達葛を食べることなく健康に過ごすことができた感謝を込め、生産を継承する友の会への寄贈を思い立ったという。
袋の生産者欄には、75年まで宝達志水町宝達(旧押水町宝達)で宝達葛を作っていた男性の名前が記載されており、袋のデザインや文言は現在の袋とほとんど変わらない。
佐藤さんによると、葛根からでんぷんだけを抽出する宝達葛は賞味期限がなく、寄贈された1袋も問題なく食べられるという。
宝達葛は、宝達金山の採掘者が疲労回復や整腸薬の薬として作り始めたのが起こりとされ、滋養強壮や腹痛を和らげる食べ物として保管する家庭は少なくない。佐藤さんは「おいしいだけでなく、万能薬の側面があることを知ってもらいたい。自宅に古い宝達葛を保管している人はまだいるはず」と話している。
●「ふわふわ楽しい」児童が葛づくり
宝達志水町宝達小の3年生10人は24日、町宝達葛会館で町特産の宝達葛づくりを体験し、約440年前から続くふるさとの食に理解を深めた。
生産友の会の佐藤さんら4人が宝達葛の歴史や作業の流れを紹介した。児童は木おけの上から葛を踏む作業を体験し、広正梨花さん(9)は「楽しい。ふわふわして絨毯(じゅうたん)みたいだった」と笑顔を浮かべた。
宝達小児童の体験会は9年目で、乾燥前の葛と葛湯を試食した児童は「葛は味がなくてぱさぱさだったけど、葛湯は甘くておいしかった」などと感想を話した。
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