Monday, August 8, 2022

津波遺留品「写真、位牌」保管か処分か 福島県浜通り10市町 関心薄れ返還進まず | 福島民報 - 福島民報

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 東日本大震災の津波で流出し、回収された持ち主の分からない写真や位牌(いはい)などの「思い出の品」(津波遺留品)について、震災から11年が経過する中、保管している福島県浜通りの自治体の対応が分かれている。保管期限を明確に定めた基準はなく、引き取り手がほとんどいなくなったため、処分を選択する自治体も。住民は展示会などの機会の周知を求める。歴史資料保存の専門家は「住民との議論を経て判断すべきだ」と指摘する。

■区切り

 県内沿岸部の10市町の対応は【表】の通り。少なくとも約24万点が持ち主に戻されていない。

 返還が進まないのは震災から11年が経過し、関心が薄れつつあることが背景にある。新地町や相馬市によると、思い出の品に関する問い合わせは近年ほとんどないという。保管場所確保の難しさや品物の劣化なども懸念される。南相馬市は12万点を保管スペースの確保が課題で、自前のアーカイブ施設を持つ富岡町も「整理の労力、残す品の選定、持ち主の特定など(課題は)多岐に亘る」とする。

 浪江町は既に全ての品物を処分した。町内の「思い出の品展示場」で約2500点を持ち主に返してきたが、昨年3月、津波被害があった地区の住民の了解を得て展示場を閉鎖し、品物を廃棄した。来場者が減少したのが理由の一つだ。町は処分した品をリスト化したが処分後の問い合わせはなく、担当者は「区切りをつけた住民も多いのではないか」と話す。

■より周知を

 一方で、多くの自治体が期限を設けずに保管・返還事業を続けている。いわき市は震災の経験を後世に伝えるため、思い出の品の一部をいわき震災伝承みらい館で展示している。帰省客が増えるお盆に合わせ、新型コロナウイルスの影響で昨年から中止していた展示・返却会を11日から17日まで市内の鹿島公民館で開く。

 市内豊間地区の自宅が津波で被害を受けた小野陽洋さん(31)は「保管されているのを知らない住民も多い。失われた風景や懐かしい記憶に触れる機会があるのはありがたい。こうした機会をもっと増やしても良いのではないか」と話す。

■住民と対話を

 環境省は思い出の品について、災害廃棄物対策指針で「平時に検討したルールに従い回収・保管・運営・返却を行う」と示す。処分については「一定期間を過ぎた品は被災公共団体の判断で処分する。処分前には住民に十分周知する」とし、期間の設定や住民との合意形成の方法は自治体に委ねている。

 歴史資料保護活動に携わる福島大行政政策学類の阿部浩一教授は、「被災自治体が抱える課題はさまざまで、保管か処分かの判断は難しい面もある。ただ、時間がたった後に価値が出てくる品もあり、できるなら保存してもらいたい」と話す。分類整理に民間の協力を仰ぐことも可能とし、「住民と対話して地域にとって最適な扱い方を探ってほしい」と求めた。

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