「SSD」や「Blu-ray Disc」をはじめ複数種類のストレージの販売が続く中、新種ストレージの登場に期待がかかる。パデュー大学(Purdue University)が開発した「プラズモニックストレージ」も、新種の候補として挙がってきたストレージ技術だ。
過去のストレージ業界を振り返ると、試作品の開発までは進んでも、商業的に成功した例は多くなかった。プラズモニックストレージにも、商業化できるかどうかが問われる。
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開発が進むストレージ技術
プラズモニックストレージは、試作品の段階では「WORM」(Write Once Read Many:書き込み1回、読み込み複数回)に照準を絞っている。データの書き換えはできない。WORMを前提にしていることや、ディスク(円盤の記録媒体)を使用する点で、プラズモニックストレージはBlu-ray Discの代替を狙った技術だと言える。Blu-ray Discはプラズモニックストレージほどの保存容量や読み取り速度は提供できないものの、市場での地位を確立したストレージだ。
今後、プラズモニックストレージの研究開発が大きく進展する可能性はある。ただしディスクメーカーが簡単にプラズモニックストレージの生産を開始するとは考えにくい。Blu-ray Discとプラズモニックストレージは記録媒体の形状がよく似ているものの、メーカーは新しい仕様に合わせて生産設備や工場のオペレーションを変更しなければならない。これは容易なことではない。ストレージ業界は、商業的に大きな可能性があることに納得しなければ動かない。
実用化を考える上でプラズモニックストレージの弱点になる可能性があるのは、1枚のディスクだけを使用する点だ。プラズモニックストレージもBlu-ray Discと同じで、容量の上限が1枚のディスクに限られる。一方でSSDやHDDといった他のストレージは企業の大規模なシステムに使われ、複数のストレージが1つのリポジトリ(保管庫)として機能している。これは大きな違いだ。
ストレージベンダーはSSDの開発に多大な費用と時間をかけている。業界ではSSD以外のストレージ技術は後回しになっている状況だ。そのためプラズモニックストレージにとっては、SSDの存在も商業化に向けての壁になる。
新種の光学ストレージを開発する取り組みは、パデュー大学のプラズモニックストレージだけではない。Microsoftのプロジェクト「Project Silica」は、レーザーを利用してデータを石英ガラスに保存する可能性を研究している。これが目指すのは、データを長期保存するストレージの大容量化と、長寿命化だ。IBMは過去に、「Racetrack Memory」というストレージ技術の開発に取り組んでいた。これはワイヤ状の記録媒体に電流を流してデータを保存しようとする試みだ。DNA(デオキシリボ核酸)の配列を使ってデータを記録する「DNAストレージ」の研究開発も進んでいる。
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