HDDでストレージプロトコル「NVMe」(Non-Volatile Memory Express)を利用可能にしようとする動きがある。NVMeは「SSD向けのプロトコル」というのが常識だ。通常はHDDでNVMeを利用することはできない。それをHDDで利用するとはどういうことなのか。
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HDDの時代はまだ続く
NVMeをHDDで利用する技術は、ストレージベンダーのSeagate Technologyが開発し、2021年に発表していた。NVMe接続のHDD製品はまだ市場に出ていないが、新たな動きがあった。
ストレージベンダーStorONEは、既存のHDD製品を「NVMe-oF」(NVMe over Fabrics)のネットワークに接続するためのソフトウェアを公開した。NVMe-oFとは、NVMeをストレージやサーバ内だけではなく、イーサネットやファイバーチャネルに拡張する仕組みを指す。StorONEが狙うのは、データ転送や読み書き速度が高速なNVMeのメリットを、HDDの利用に取り入れることだ。
「NVMe-oFはフラッシュストレージアレイ向けの技術だと考えられてきた」。StorONEの最高マーケティング責任者(CMO)であるジョージ・クランプ氏はそう語る。NVMe-oFを使うのは、主にSSDを搭載するフラッシュストレージアレイのユーザー企業だ。そうしたユーザー企業はSSDに加えて、アーカイブ用にHDDを使うことが珍しくない。HDD向けにNVMe-oFを提供するStorONEの狙いは、HDDとSSDのネットワークを1つにまとめることにある。「HDDでもNVMeのメリットを引き出せるようになる」とクランプ氏は説明する。
HDDの課題の一つは、レイテンシ(遅延)が大きくなりがちなことだ。HDDがNVMe-oFを利用すると、レイテンシの低減が可能になるとStorONEは見込む。同社が実施したテストでは、HDDのレイテンシは最大で35%短縮したという。
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