16日深夜の地震で、東京電力福島第1原発構内で屋外保管されている放射性廃棄物入りのコンテナの転倒や傾きが相次いだ。昨年2月の福島県沖地震でも同様の被害があり、保管方法の課題が改めて浮き彫りになった。東電は屋内貯蔵庫に移送するまでの急場しのぎを続けるが、原子力規制委員会は踏み込んだ対策を求める構えだ。
4基破損、内容物が外に
19日時点で判明している転倒コンテナは、1メートル四方の大きさの計8基。うち4基は破損して内容物が外に出た。いずれも低線量の使用済み保護衣が入っていた。他にシートで覆っているコンテナ群2カ所でも複数基の転倒があった。
昨年2月の地震では77基が傾き、2カ所で計12基が転倒。一部のコンテナは4段積みで、地震の揺れで連結金具が壊れるなどした。2、3段に積み直したり底部基礎を増強するなどしたものの、今回も被害を防げなかった。
廃棄物コンテナを巡っては、昨年3月に腐食した1基から高線量の放射性物質が地面に漏れ、排水路を通じて港湾に流れ出る事故が発生。同7月には汚染土壌の収納容器に入り込んだ雨水が中からあふれ出るトラブルも起きた。
屋外の廃棄物コンテナは計約8万5500基に上る。東電は漏えい事故を受けて一定の表面線量がある計5338基の点検を実施し、計646基で腐食や破損が見つかり応急補修した。事故後の緊急避難的な廃棄物管理に伴うリスクが顕在化した格好だ。
「建屋外のリスク低減を」
規制委は問題意識を強めている。更田豊志委員長は2月2日の定例会合で、屋外廃棄物に土をかぶせて地中に仮保管する選択肢に言及。「地元の理解を得るのは難しいと思うが、漏えいリスクを考えると地上に置いておくのは好ましくない」と持論を述べた。
東電は2028年度までにコンテナの内容物を全て貯蔵庫に運び込んで屋外保管を解消する方針を打ち出しているが、作業終了まで地震や台風など大規模な自然災害が発生しないという保証はない。トラブルが起きれば地元への風評被害につながる。
17日に第1原発のコンテナ群を視察した規制委の山中伸介委員も終了後の取材で屋外廃棄物の問題に触れ、「原子炉建屋内の話も大事だが、今は建屋外のリスク低減を優先してほしい」と強調。東電に具体策の提示を求める考えを示した。
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