Tuesday, March 22, 2022

株価上昇率1万%超で大富豪、データ保管で起業家にさらなるチャンス - ブルームバーグ

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インドネシア最大の通信会社に自分の会社を売却したオットー・トト・スギリ氏はすでに多くの資産を手にしていたが、一生に一度のチャンスが訪れたのはそれからだった。

  ウェブの利用が全国的なブームになっていた2011年、インドネシア政府はデータのセキュリティー確保のため、オンライン情報の保管を海外ではなく国内に義務付ける法整備を計画。つまり、国内にデータセンターを設置する大きなニーズがあることを意味していた。

  スギリ氏は6人のパートナーと共に DCIインドネシアを設立。200余りの顧客を抱える同社は、この分野でインドネシアのトップとなった。昨年1月の上場後、DCIの株価上昇率は1万%を突破。 ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、DCIの30%を所有するスギリ氏(68)は今や、推定資産25億ドル(約3030億円)の世界的大富豪だ。

Otto Toto Sugiri

オットー・トト・スギリ氏

Source: DCI Indonesia

  同氏はドイツのアーヘンにあるエリート大学を卒業後、同国でITプログラマーとして社会人キャリアをスタートさせた。1980年代にインドネシアに戻ると、地元企業向けのプログラミングを手掛け、その後はバリ銀行に入行。同氏の家族の銀行だった同行は今のプルマタ銀行で、6年間勤めた。

  銀行を辞めてから率いたのがソフトウエア企業シグマ・シプタ・カラカで、同社はテレコム・インドネシアが2007年に買収し、大きな利益をスギリ氏にもたらした。同氏は1994年には同国初のインターネットサービスプロバイダー、 インドインターネットを設立するなど、創業した企業は20社を超える。

  人口2億7000万人のインドネシアはウェブに詳しい若者が多く、DCIはデジタルトランスフォーメーションの恩恵にあずかっている。同社は市場シェア62%を握り、昨年は利益が43%増えた。

  ただ、2021年の 新規株式公開(IPO)後の株価急騰は物議を醸した。株価操作疑惑を招き、調査が行われた。調査で疑惑が晴れたスギリ氏ら共同創業者は持ち株を売却しないと表明。昨年8月に保有株を 取引不可の株式に変更した。今月のインタビューでスギリ氏は創業者として「市場に影響を与えようとしていると思われたくない」と述べた。

  同氏は一方で、DCI以外の持ち株売却にはオープンだ。スギリ氏の投資先は電子商取引会社トコプラス・Eコマース・インドネシアやサービスプロバイダーのフォートレス・データ・サービシズ、暗号資産(仮想通貨)マーケットのインドダックス・ナショナル・インドネシアなどのテクノロジー企業だ。同氏らDCIの創業者は昨年、インドインターネットの47%をIPO価格より42%高い評価額で手放した。

  「複数の企業を生涯保有する野心はない。会社とは有用かつ人々の利益になる何かを創造するための手段にすぎない」とスギリ氏は話している。

原題: Bet of a Lifetime’s 10,000% Stock Surge Made Him a Billionaire (抜粋)

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