企業のDXにより、社内文書の電子化が進んできている。また、ハイブリッドワークが進んだこともあり、そうした文書を保存・共有する場所を社内のファイルサーバーからクラウドストレージへ移行するケースが増えている。
クラウドに社内のさまざまなデータを集約することで、データのサイロ化を防いで、再利用を促進させられる。さらに、OfficeファイルやCADデータ、動画ファイル、印刷物のグラフィック系ファイルなど、非構造化データの検索や分析にも対応。これにより、SaaS連携やAIなどのデータ活用にもつながる。
ただし、権限管理やセキュリティ、あるいはコストなどの観点から、従来のファイルサーバーでできていた運用管理と同じことがクラウドストレージでも可能かどうかが、企業にとって懸念点となる。そのことから、クラウド移行に踏み切れない企業もまだまだ少なくない。
ダイレクトクラウドの法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」は、こうしたクラウドストレージの懸念を払拭するサービスだ。DirectCloudを活用することで、企業はデータ活用を促進し、データガバナンスを効かせて、DXを推進させられる。
2024年4月に展示会「Japan IT Week 2024【春】」の一つとして開催された「クラウド業務改革EXPO 【春】」では、ダイレクトクラウドのブースにおいて、DirectCloudのこうした特徴についてミニセミナーや展示を行っていた。まずは、ファイルサーバーでできていたことをクラウドストレージでもきちんとできる、ということをアピール。さらにそこからのDXへの活用を示して、ファイルサーバーからの移行を促すのが狙いだ。
ここではその中から、「データガバナンス」、「DirectCloudウォームストレージ」、「DirectCloud-SHIELD」、「DirectCloud AI」についてのミニセミナーの模様をレポート。さらに、ダイレクトクラウドの植木稔雄氏(営業部 ゼネラルマネージャー)の説明を合わせて紹介する。
大企業の要望で追加されたデータガバナンス機能
書類の電子化により、企業においてデータの量や種類が膨大になってきた。こうしたデータをクラウドストレージに集約し、適切な方法で管理し活用することで、データドリブン経営による迅速な意思決定が可能になる。
そのために、セキュリティや法令対応など管理者が考えなくてはならないポイントも増え、データガバナンスが重要課題となってきた。
データガバナンスに潜むリスクとしては、誤った意思決定につながるリスク、企業内部の不正につながるリスク、サイバー攻撃によるデータ漏えいのリスク、法令違反のリスクがある。
DirectCloudでは、そのためのデータガバナンスの機能を網羅している。ミニセミナーでは、その4つの機能が紹介された。
1つ目は、IT監査のためのDirectCloud監査オプションだ。IT監査とは、会社法で定められている「会計監査」の項目のひとつで、大企業などにおいて年に1度決算の時期に行われる。
そのためにDirectCloud監査では管理者を含む全従業員の監査に対応できる検閲機能を搭載している。これにより、全社員の全所持ファイルを、個人フォルダーやゴミ箱に至るまで検閲できる。退職者が持っていたファイルの検閲も可能だ。また、管理者のゴミ箱の保存期間を制限なしにして、ファイル削除機能を無効にすることもできる。
DirectCloud監査はエンタープライズプランで利用できる。植木氏によると、もともと大企業の顧客からの要望によって追加した機能で、その後も大きな企業から引き合いがある機能との話だった。
◆紹介ページ:DirectCloud 監査
https://directcloud.jp/about/func_audit
2つ目は、管理者操作ログの取得機能だ。ガバナンスで求められる操作ログについて、ユーザーの操作ログに加えて、114種類の管理者操作ログを取得できる。期間やユーザーIDなどさまざまな条件で検索・絞り込みできる。
3つ目は、高度なゴミ箱機能だ。上記のとおり、管理者のゴミ箱のファイルを削除できないようにできるほか、元のユーザーのゴミ箱への復元も可能となっている。
機密情報を暗号化して保護し、持ち出しを防ぐ
「DirectCloud-SHIELD」
ガバナンス機能の4つ目は、セキュリティポリシーの設定だ。これを実現する「DirectCloud-SHIELD」オプションについては、単独で紹介するミニセミナーも行われた。
DirectCloud-SHIELDは、データを守るオプションサービスだ。これには、「DirectCloud-SHIELD IRM」と「DirectCloud-SHIELD DLP」の2つがある。
「DirectCloud-SHIELD IRM」は、機密情報を暗号化して保護する機能だ。すべてのファイルに対してリアルタイムに検知を行い、機微な情報が含まれたファイルを社外秘情報として分類し、自動で暗号化する。さらに、必要に応じて閲覧専用、コピー禁止、印刷禁止といった具合に設定を行い、相手に必要最低限のアクセス権限を付与することができる。
◆紹介ページ:DirectCloud-SHIELD IRM
https://directcloud.jp/shield
「DirectCloud-SHIELD DLP」は、クラウドストレージの中に専用のエリアを作り、その中に入れたファイルは持ち出せないようにする機能だ。ファイルのコピーはもちろん、スクリーンショットの取得や、アプリケーションからの印刷や名前を付けての保存なども禁止される。
◆紹介ページ:DirectCloud-SHIELD DLP
https://directcloud.jp/shield_dlp
DirectCloud-SHIELDといったデータガバナンスの機能によって、企業はデータを社内保管と同等またはそれ以上にきっちりと管理できる。植木氏は、「お客様のセキュリティポリシーに従って預かっており、DirectCloudにデータを安心して預けていただきたい」と語った。
アクセス頻度の低いデータを安価な領域で保存する
「DirectCloudウォームストレージ」
もう1つ大きく紹介されていたミニセミナーが、2月に販売開始された「DirectCloudウォームストレージ」だ。
DXにより企業で取り扱うデジタルデータは日々増加している。それにより、データを保管するストレージのコストや、その管理運用の負担も増加する。一方で、企業の中で半年間触れられていないデータが平均して80%もあるという。そうしたデータに保管や管理のコストをかけるのは無駄が大きい。
この問題の軽減に向けてダイレクトクラウドが提供開始したのが「DirectCloudウォームストレージ」だ。ウォームストレージとは、コンピュータが直接扱えるストレージ領域である「ホットストレージ」と、バックアップやアーカイブのように直接扱えない代わりに、安価に長期保存できる「コールドストレージ」の中間のものを指す用語だ。比較的安価に保存でき、ホットストレージほどではないが比較的すぐに使えるストレージを意味する。
このようにストレージを階層化することで、アクセス頻度の高いデータは通常のホットストレージに置いておき、アクセス頻度の低いデータは低コストなウォームストレージに移せる。
そして、ウォームストレージに移したデータが必要になったときには、すぐに取り出して活用できる。たとえば建設の設計図面について、終了したプロジェクトのデータを、ほかのプロジェクトが何かの機会に調べたりする可能性がある場合などだ。
DirectCloudウォームストレージのメリットは、まずはストレージおよび管理のコスト削減だ。ミニセミナーでは、DirectCloudのストレージを増設するときに、ホットストレージのみで増設した場合に比べて、ホットストレージとウォームストレージを併用して増設した場合は、増設分のコストを50%削減できるというケースも紹介していた。
また、すぐに取り出して活用できるのも特徴だ。もともとDirectCloudで一元管理されているので、ストレージをまたいで検索する必要もない。
さらに、運用の柔軟性も特徴となっている。システム管理者に任せるのではなく、ユーザー部門の担当者に権限を与えて、データ移行の操作を現場が行うことができる。
想定利用シーンとしては、1年以上使われていないデータフォルダーを、コールドストレージに移動するというものがある。この操作は、現場の人間がDirectCloud上のフォルダーの右クリックメニューから「移動」を選んで実行できるという簡単さだ。
ウォームストレージに移動したファイルやフォルダーは、ホットストレージ上にはないが、元の位置に「ゴースト」として残る。そして、ウォームストレージからホットストレージに戻すときも、右クリックメニューから「コピーで戻す」または「移動で戻す」を選べばよい。
さらに、管理者が期間を設定して、その期間アクセスされなかったものを自動的にウォームストレージに移動させることも可能だ。
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DirectCloudウォームストレージ上のファイルは、オンライン編集や共有リンクなどの機能は使えないが、ファイル名検索などの機能はホットストレージと同様に使える。さらにオプション機能としては、ファイルのプレビューや全文検索の機能もある。
これにより、ファイルの場所がわからないときなどに、ホットストレージに戻さずに探すことができる。そのほかにもオプションとしては、ウォームストレージからのダウンロード機能も用意されている。
なお、植木氏によると、より機能を制限して、よりコストを下げたストレージの提供も検討しているという。ただしその場合も、戻すのに何時間もかかるようなものにはしない考えとのことだった。
◆紹介ページ:DirectCloud ウォームストレージ
https://directcloud.jp/directcloud_warmstorage
社内に蓄積した文書を「DirectCloud AI」で活用
クラウドストレージに格納したデータをより活用するものとして、「DirectCloud AI」も用意されている。
DirectCloud AIは、DirectCloudの特定のフォルダーに保存されたPDFやWordなどの文書の内容について、AIに自然言語で問い合わせることができるものだ。
想定利用シーンとしては、コールセンターへの問い合わせ対応の工数削減がある。自社製品の顧客からの質問について、経験の少ないコールセンター担当者は先輩や責任者に指示をあおいだりすることがある。これに代わり質問内容をAIに問い合わせることで、工数を削減し、速やかで高品質な回答が可能になる。
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DirectCloud AIの強みとしては、まず安全・安心であることがある。パブリックなChatGPTなどを直接利用するのではなく、マイクロソフトが企業向けのクラウドサービスとして提供する「Azure OpenAI Service」を使うことで、利用企業専用の環境で利用できるようにしている。
学習データが他の利用企業に漏れるリスクがなくなるうえ、Azure OpenAI Serviceも国内のデータセンターで利用するため、海外に社内データを置くのを避けたいというニーズにも対応している。
また、DirectCloudのストレージと同様に、ユーザー数は無制限。さらに、API連携にも対応しているため、たとえば社外から利用できるWebページに問い合わせフォームを設置して、問い合わせの一次対応を自動化することもできる。
なお、DirectCloud AIの導入を検討する企業にはPoC環境も用意しているので、ご相談いただきたいとのことだった。
◆紹介ページ:DirectCloud AI
https://directcloud.jp/directcloud_ai
クラウドストレージにデータが集まることからDXを実現
これからDirectCloudの目指すものについて、植木氏は「企業でオンプレミスの代わりに安心して使えるクラウドストレージとして、これからも成長していきたい」と語り、そのためにもガバナンスやセキュリティが大事だと説明した。
同時に、データを活用しやすい環境であることも重要だ。そこで、クラウドやオンプレミスのシステムと連携しやすいAPIの整備などにより、顧客のデータ活用支援にも注力していくと植木氏は述べた。
その例として、GUIから容易にSaaS連携を設定できるiPaaS(Integration Platform as a Service)の「BizteX Connect」にも対応するようになった。これにより、たとえばサイボウズのkintoneとDirectCloudを連携することもできる。「お客様が今使っているクラウドサービスと、DirectCloudのクラウドストレージを連携して、データを活用できるようにしていきたい」と植木氏は言う。
「クラウドストレージにデータがたまることにより、データをきちんと活用できるDXが実現できます。そのことを考えながら新機能やほかのシステムとの連携などを強化していくのが、我々がやっていくことの一つだと考えています」(植木氏)
最後に植木氏は、「ファイルサーバーをクラウド化し運用管理を自動化・省力化したい企業が増えている。脱ファイルサーバーのトレンドは、加速していくことが予想される。今後は、100TB以上の大規模ストレージをクラウドに移行したいという企業ニーズに応えていきたい。そのため、DirectCloudの品質やブランド認知度を高めるとともに、お客様に提案しやすいツールの提供や費用対効果のメリットを紹介するなど、販売パートナー様と協業しながら、拡販に努めていきたいと考えている」と語った。
DirectCloudは、ファイルサーバーに縛られない次の働き方へ、革新的なクラウドストレージを通じてDXをサポートする。
●お問い合わせ先
株式会社ダイレクトクラウド
マーケティング部 広報担当:鈴木
TEL:03-4405-3668(平日10:00-18:00)
E-Mail:market@directcloud.co.jp
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