埼玉県の鶴ケ島市役所で展示・保管されていた希少な蒸気とディーゼルの機関車計2両が9日搬出され、6月9日にオープンする「ガーデンパーク」(同市鶴ケ丘)まで移送された。トラックに積まれた機関車が公道を搬送される光景は珍しく、目の当たりにした市民は「どこへ行くのか」などと声を上げていた。
蒸気機関車の愛称「OLIVER(オリバー)」(旧362号)は1948年にベルギーで製造され、台湾の製糖工場でサトウキビ運搬に使用された。同じ工場の「532号」はその後、西武鉄道(所沢市)に払い下げられ、山口線で77~84年に活躍したことがある。
一方のディーゼル機関車の愛称「BILLY(ビリー)」は64年製で、かつて神奈川・辻堂にあった関東特殊製鋼工場の専用線で利用されていた。
どちらも現在は鉄道模型メーカーで、鶴ケ島市内に製造工場を持つ「関水金属」の所有。移送先のガーデンパークは、同社新工場と既存の市営公園を一体整備するもので、1周620メートルの軌道を敷設し、イベント時に機関車を走らせる予定だ。
山口線を走った532号も、北海道の保存鉄道線からパーク内へ移送される予定で、旧362号と台湾で「同僚」として働いて以来、およそ50年ぶりの再会を果たす。パーク内には敷設線路のほか、いつでも本物の機関車と触れ合えるよう、展示用の機関庫も設置される。(加藤木信夫)
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