往路。優勝候補筆頭と目されていた駒澤大や前評判の高かったライバル校を差し置いて、2番目に芦ノ湖に現れたのはファイヤーレッドの帝京大だった。
「うちは前評判が良い時は悪くて、悪い時は良いんだよね。
でも、練習がしっかりできていたので、私自身には不安はなかった。出雲と全日本はたまたまうまくいかなかっただけで、やってきたことは間違っていなかったと思っています」
今季の出雲駅伝は8位、全日本大学駅伝は13位と振るわなかっただけに、今回の箱根で帝京大はシード権も危ういのでは……と囁かれる声もあったほど。周りには番狂わせに映っても、中野孝行監督としては、往路2位は“してやったり”、手応え通りの往路の結果だった。
「辛抱強く、よくタスキをつないでくれたと思います。評価したいです」
めったに褒め言葉を口にしない中野監督も、奮闘した選手たちを称えた。
4人の4年生が躍進の大きな力に
往路では4人の4年生が登場。育成の帝京大らしく、まさに4年生の力が躍進の大きな力となった。
13位に終わった全日本の後、エースの遠藤大地(4年)はこんなことを言っていた。
「下級生のミスを巻き返せるだけの力が4年生になかった。順位を上げきれなかった4年生が、まだまだ弱いのだと思います」
いやいや。箱根路では、4年生の強さを見せつけることができただろう。
実は、往路のオーダーは、12月頭の時点で中野監督の頭の中にあったものからは少し変更点があった。
1区・小野隆一朗(2年)が、区間8位と上々の滑り出しを見せ、2区・中村風馬(4年)が、留学生のフィリップ・ムルワ(創価大3年)、ポール・オニエゴ(山梨学院大4年)のハイペースを利用し区間8位と好走し、序盤から上位に付けたことが、往路2位の要因だろう。当初の予定と違ったのはこの2区間。中村が1区を担う予定で、小野は来年以降を見据えて単独走の経験を積ませるために復路に回すつもりだった。
4年連続の3区、エースの遠藤がまたしても快走
2週間前と1週間前に2度にわたって千葉・富津で行った直前合宿では10kmのタイムトライアルを行うのだが、そこで小野、中村ともに、過去のエースたちと遜色ないタイムをマークしたことで、急遽オーダーを組み直した(ちなみに、3区の遠藤、9区起用予定の森田瑛介(4年)も同タイムだった)。
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