日本でも5Gのサービスが始まってから2年が経過した。高速かつ大容量の通信インフラ下での利用を前提としたリッチコンテンツが登場し始める中、ストレージ容量不足という声を多く聞く。お使いのスマートフォンの本体容量について、再考してみる時期が来たといえる。
スマートフォンのストレージ容量はどう変わっていったのか
まず、日本におけるスマートフォンの平均利用年数は内閣府の消費動向調査などのデータより、全世代で平均4年前後という数字が出ている。
かつては2年縛りなどの制約で、利用期間は2〜3年というユーザーが多かったのに対し、近年では各種規制による市場の変化、端末の価格上昇や長期サポート化もあって利用年数は長くなっている。
この数字をもとに5年前に発売された機種と、2021年度発売された機種のストレージ容量を比較してみよう。
グラフを読み解くと、Android端末では2017年当時のハイエンドSoCである「Snapdragon 835」を採用した機種については64GBまたは128GBの容量となっており、当時は必要十分だった。iPhoneもこの年登場のiPhone 8以降には32GBのオプションが廃されたため、最低容量が64GBとなっている。一方で、一括価格7万円前後の機種になると、32GB以下の容量となっている。
2021年では、iPhoneやAndroid端末問わず、全ての機種が64GB以上の容量を持つものになっている。ハイエンドである「Snapdragon 888」採用機に限れば、128GBよりも上位の256GBを採用する機種が多い。興味深いのは、Snapdragon 888を採用したハイエンド機のうち、7機種中4機種が外部メモリを利用できないものになっていることだ。
一方、64GBのストレージを採用したモデルは軒並み5万円以下の廉価な機種に限られる。iPhoneについてはiPhone SE(第3世代)を除き、最低容量のモデルは128GBだ。共通していえることは、最大容量といえる容量はどちらの世代でもiPhoneが先んじて展開していることだ。
今後のスマートフォンのストレージ容量は128GBが一般的となるか
Androidスマートフォンでは2020年の大手キャリアの5Gサービススタートを皮切りに、ハイエンド端末では128GB以上のストレージ容量を採用するモデルが大多数を占めた。また、5〜7万円クラスの普及モデルも128GBストレージの機種が多かった。
Appleでは2020年発売のiPhone 12 Proシリーズと、翌2021年発売の iPhone 13シリーズでは、全機種の最低容量が128GBとなった
これは、スマートフォンを普段使いする上で、「これからは128GBないと厳しくなる」というメーカーの見解とみてよいだろう。日本に限らず世界的にも同じような傾向が続いており、各社のラインアップを見てもデファクトスタンダードは128GBになりそうだ。
GalaxyやOPPOのハイエンド機では既に外部メモリを利用できなくなっている。その関係もあってか、日本発売のS21シリーズやOPPO Find Xシリーズは256GBのストレージを採用している。
キャリア以外のオープンマーケットではPixel 4aシリーズやOPPO Reno 3AやReno 5A、Xiaomiの「Redmi Note 10 Pro」や「Mi11 Lite 5G」といった128GBのストレージ容量の機種が目立つ。
いずれも市場価格は5万円以下の機種であり、128GBストレージはもはや10万円クラスの高価な機種だけの特権ではなくなりつつある。
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進むコンテンツのリッチ化 64GBでは今後厳しいか
64GBのストレージ容量では正直、使うにあたって工夫が必要だと感じる。正直、64GBのストレージのスマートフォンでも「操作に支障が出るほど厳しい」というわけではない。使い方を工夫さえすればおおむね快適に使える。
- 写真や動画をクラウドサービスにアップロードして、本体には多く保存しない
- 大容量のゲームはタブレット端末などの別端末で行う
- 音楽ストリーミングサービスなどは必要以上に楽曲を本体に保存せず、オンライン環境で利用する
といったちょっとした工夫次第では満足に使えるはずだ。ただ、こうした工夫をしたところで、今は何とかなっても、数年後にはアプリの容量そのものが増えて64GBでは厳しくなってくるはずだ。
容量不足となる背景としては、写真や動画の画質向上、アプリコンテンツのリッチ化が挙げられる。アップデートが続くゲームアプリやクロスプラットフォームの超大作なら、アプリ1本で20GBなんてコンテンツも多く出てくるだろう。
SNSアプリでも多機能化、ポータル化が進んでいる。利用していけばキャッシュなどもたまって、知らないうちに4〜5GBクラスの容量となるのも数年後では当たり前になるだろう。
特に工夫などせずに使用した場合、最初1年くらいは満足に使えても、時間の経過とともに容量不足となるのが目に見える。コンテンツのリッチ化といえばゲームなどを思い浮かべる方も多いと思うが、普段利用するアプリも便利な機能を追加すべくアップデートを重ねている。
例えば、日本でも多くのユーザーが利用するLINEはメッセンジャーアプリに端を発するものであったが、今ではニュースやトレンド、決済まで兼ねる「ポータルアプリ」という側面のある多機能なものになっている。
また、前述の通り動画や写真を多くSNSに投稿すれば、こうしたアプリのデータ容量も増加するので、知らない間に数GBの容量を消費してしまう。
カメラ機能の進化もストレージの大容量化に拍車を掛けている。処理過程の変化などもあり、写真に含まれている情報量は以前よりも多くなっている。Android端末ではその傾向がより強く出ていると。結果として、同じ画素数のiPhoneでも、1枚あたりの容量は新しい機種ほど確実に大きくなっている。
そのため、同じ感覚で連写したらあっという間に容量が消費される。動画についてはこちらも画質にとどまらず、フレームレートやHDR合成の有無で容量は大きく変わってくる。4K画質で撮影するとものの1分程度でも数百MBの容量になる。
高いストレージを購入して安心を手に入れる
先述の通り、スマートフォンは平均4年利用するというデータが出ている。スマートフォンの容量も、今なら64GBで足りていたとしても、4年後も大丈夫か? と問われれば話は変わってくる。かなり厳しいと言わざるを得ない。
筆者自身、何年も前にiPhone 5の64GBモデルを購入した当初は「こんなの余らせるだけだ」と思ったが、2年がたった頃には写真や動画、アプリに圧迫されて残り数GBというところまで使っていた。
今、512GBや1TBの容量を持つスマートフォンを購入しても決してオーバースペックではなく、安心できる追加容量を手に入れたと考えればいい。
スマートフォンのストレージ容量は、自分が思っているものよりもワンランク上あたりを選んでおく方が長く安心して使える。スマートフォンを快適に、安心して使える最低ラインが現代では128GBの容量になる――という言葉を結びにしたい。
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