日本でも5Gのサービスが始まってから、ちょうど4年が経過した。高速かつ大容量の通信インフラ下での利用を前提としたリッチコンテンツが台頭する中、スマートフォンのストレージが容量不足になるという声を多く聞く。お使いのスマートフォンの本体容量について、再考してみる時期が来たといえる。
スマートフォンのストレージ容量はどう変わっていったのか
まず、日本におけるスマートフォンの平均利用年数は内閣府の消費動向調査などのデータより、全世代で平均4年前後という数字が出ている。かつては2年縛りなどの関係で2〜3年の利用期間が多かったのに対し、近年では各種規制による市場の変化、端末の価格上昇や長期サポート化もあって利用年数は長くなっている。
思い返せば、2020年の大手キャリアの5Gサービススタートを皮切りに、ハイエンド端末では128GBのストレージ容量を採用する機種が大多数を占めていた。また、5万〜7万円クラスの普及機種も64〜128GBストレージの機種が多かった。
そこから4年が経過した今、情勢は変わりつつある。2万円台の端末でも128GBのストレージ容量を備える機種が多くを占め、5万〜7万円クラスの普及機種でも256GBの容量を持つものが登場し始めた。Androidスマートフォンでも複数の容量を選択できる機種が登場するなど、市場も少しずつ変化している。
市場に出ている端末をみても64GBのストレージ容量はかなり少なくなった。ドコモのオンラインストアで確認すると64GBのストレージはiPhone SE(第3世代)以外は法人向け色の強い京セラ「DuraForce EX」、廉価帯の「AQUOS wish3」「Galaxy A23 5G」「Xperia Ace III」「arrows We」に限られる。これらの廉価スマホは法人向けの「会社ケータイ」として今なお支持されている。
ここ1年で、2〜3万円台の機種も本体ストレージ容量は128GBへと変化し始めた。「OPPO A79 5G」や「Xiaomi Redmi 12 5G」「ZTE Libero 5G IV」などの廉価機種でも大容量化が進んでおり、64GBのスマートフォンに対して優位性を示している。また、Redmi 12 5Gでは256GBの大容量モデルもそろえるなど、「安価でも大容量」な機種を求めるユーザーに訴求している。
アッパーミドルと呼ばれる5万〜7万円クラスの製品でも大容量化が進んだ。「OPPO Reno10 Pro 5G」「Xiaomi 13T」「motorola edge 40」などでは256GBのストレージ容量を採用し、検討する消費者に安心感を与えた。いずれもmicroSDが利用できないことや、先行販売された海外モデルに128GB構成が存在しないためだ。
10万円を超える機種は128GBから256GBへと最低容量が引き上げられたものが大半を占める。2023年の日本市場ではこの価格帯に投入された機種のうち、128GBのストレージを用意している機種はiPhone 15シリーズ(Pro Maxを除く)、Pixel 8シリーズ、Xperia 5 V(キャリア向け)のみとなる。
リッチコンテンツの増加とハードウェアの進化も大きく影響
さて、スマートフォンの容量の変化を見てきたところで、筆者としては、数年前では安全ラインといわれた128GBの容量でも、あと1〜2年で容量不足となるユーザーが増えるのではないかと考える。
このあたりはメーカーも考慮しており、2023年発売のiPhone 15 Pro Maxでは最低容量が256GBとなった。これは、高価なスマートフォンを長く普段使いする上で「これからは最低256GBないと厳しくなる」というメーカーの見解と考えていい。この流れもあって日本はもとより、グローバル視点で見ても10万円を超えるフラグシップは256GBが当たり前になりつつある。
128GBの容量では購入当初こそ特に工夫などせずに使用でき、最初の1年くらいは満足に使えるかもしれない。一方で、コンテンツのリッチ化が進む昨今では時間の経過とともに容量不足となるのが目に見える。
容量不足になる背景としては、アプリコンテンツのリッチ化に加え、写真や動画の画質向上、スマートフォンの長期利用化が挙げられる。長きにわたりアップデートが続くコンテンツ、クロスプラットフォームの超大作ゲームなら、アプリ1本で20GBの容量を持つものも少なくない。現に若い世代を中心に人気を集めるゲーム「原神」では、記事執筆時点のVer4.4のモバイル版でも32GBに及ぶ。
大容量の「リッチコンテンツ」といえばゲームなどを思い浮かべる方も多いと思うが、普段利用するアプリも便利な機能を追加すべく、日々アップデートを重ねて大容量化している。
SNSアプリでは多機能化、ポータル化が進んでいる。例えば、日本でも多くのユーザーが利用するLINEはメッセンジャーアプリに端を発するものだったが、今ではニュースやトレンドサーチ、決済機能まで兼ねる「ポータルアプリ」に進化した。トーク内の写真などもたまって、知らないうちに4〜5GBを消費している人も多いだろう。これはX(旧Twitter)やInstagramでも同様で、以前よりも多機能化したことでアプリが大容量化している。
カメラ機能の進化もストレージの大容量化に拍車を掛けている。処理過程の変化などを理由に、写真に含まれている情報量は以前よりも多くなっている。そのため、連写したらあっという間に容量が消費される。動画については画質にとどまらず、フレームレートやHDR合成の有無で容量は大きく変わる。4K画質やフルHDでも60fpsで撮影すると、ものの1分程度でも数百MBの容量となるため、容量を気にする場面では撮影時の設定を確認しておくことが大切だ。
スマートフォンの長期利用化も影響している。1台あたりの利用期間が長くなれば、当然多くの容量を消費することになる。また、サムスンやGoogleがハイエンド機種には7年間のOSアップデート、多くのメーカーも5年間のセキュリティアップデートを提供する意向を示しており、長く安心して利用できる環境になりつつある。これらを踏まえてスマートフォンを選択するのなら、大容量ストレージの機種を選ぶ必要がある。
このようなコンテンツを長期間、複数楽しむとなれば、64GBはもとより128GBですらあっという間に容量不足に陥る。新しいアプリを入れるために思い出の写真や動画を削除したり、ゲームをアンインストールしたりするなどの葛藤を強いられる場面も考えられる。
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